ブラック企業を避けるには?若者雇用促進法の職場情報・しょくばらぼ・ユースエール認定の使い方
結論(先に3行で)
- 「ブラック企業」に法律上の定義はありませんが、避けるための公的な情報はあります。若者雇用促進法では、新卒等を募集する企業は、応募者などから求めがあれば職場の情報(青少年雇用情報)を提供しなければなりません。
- 厚生労働省の「しょくばらぼ」では、企業の平均勤続年数・残業時間・有給休暇の取得状況などを検索できます。
- 若者の採用・育成に積極的な中小企業(常時雇用300人以下)を国が認定する「ユースエール認定」の基準は、新卒者等の離職率20%以下、所定外労働時間が月平均20時間以下などです。
この記事でやること:応募したい企業を、しょくばらぼで検索 → ユースエール認定の有無を確認 → 新卒枠に応募するなら青少年雇用情報を求める → 求人票の固定残業代・募集の頻度を確認する。
ブラック企業かどうかは、どう見分ける?
「ブラック企業」は法律で定義された言葉ではなく、人によって指すものが違います。このサイトでは、長時間労働や賃金不払残業、ハラスメントが放置されている、若手が定着しない、といった職場を避けるために、公的に確認できる情報を使う方法をまとめます。口コミサイトの書き込みは、書いた人の立場や時期が分からないため、それだけで判断しないことをおすすめします。
若者雇用促進法で、企業に求められていることは?
青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)は、若者が自分に合った職場を選べるように、企業に情報の提供を求めています。
- 第13条第1項:新卒等(学校卒業見込者等)を募集する企業は、青少年雇用情報を提供するよう努める
- 第13条第2項:新卒等の募集に応じた人、応じようとする人から求めがあれば、青少年雇用情報を提供しなければならない
- 第14条:ハローワークや職業紹介事業者に新卒等の求人を出す企業も、青少年雇用情報を提供するよう努める
厚生労働省の「若者の募集・採用等に関する指針」では、こうした情報の例として、平均勤続年数や研修の有無と内容といった就労実態等の職場情報が挙げられています。
既卒の人も、卒業後3年以内などで新卒枠に応募する場合は、この仕組みを使える可能性があります。応募の前後に「平均勤続年数や、研修の内容を教えていただけますか」と聞いてかまいません。
しょくばらぼでは何が分かる?
厚生労働省の「しょくばらぼ(職場情報総合サイト)」では、企業が公表している職場情報を検索できます。見ておきたい項目は次のとおりです。
| 項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 平均勤続年数 | 極端に短くないか |
| 新卒者等の採用数と離職者数 | 採用した人が残っているか |
| 月平均の所定外労働時間(残業) | 長すぎないか |
| 有給休暇の平均取得日数 | 取りやすい職場か |
| 研修の有無と内容 | 未経験から育てる仕組みがあるか |
情報を公表していない企業もあります。公表していないことだけで判断はできませんが、応募の前に質問してみるきっかけになります。
ユースエール認定とは?
ユースエール認定は、若者雇用促進法第15条にもとづき、若者の採用・育成に積極的で、雇用管理の状況などが優良な中小企業(常時雇用する労働者が300人以下)を、厚生労働大臣が認定する制度です。しょくばらぼの案内によると、主な基準は次のとおりです。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 離職率 | 直近3事業年度に正社員として就職した新卒者等の離職率が20%以下(採用が3〜4人の場合は離職者1人以下) |
| 残業 | 前事業年度の正社員の所定外労働時間が月平均20時間以下、かつ月平均の法定時間外労働が60時間以上の正社員がいない |
| 有給休暇 | 前事業年度の正社員の有給休暇の取得率が70%以上、または年間の平均取得日数が10日以上 |
| 育児休業 | 直近3事業年度に男性の育児休業等の取得者が1人以上、または女性の取得率が75%以上 |
| 情報の公表 | 新卒者等の採用・定着状況などの職場情報を公表している |
しょくばらぼでは「ユースエール認定を受けた職場情報を検索」から、認定企業を探せます。認定は中小企業向けなので、大企業は対象外です。認定がないことは、悪い会社という意味ではありません。
求人票で注意する点は?
- 固定残業代:時間数と金額が書かれているか。厚労省の指針は企業に明示を求めています
- 給与の幅が極端に広い:「月給20万〜50万円」のように幅が広い場合、何で決まるかを確認
- いつ見ても同じ求人が出ている:人が定着していない可能性もあれば、事業拡大の場合もある。理由を聞いてみる
- 仕事内容があいまい:「幹部候補」「やりがい」など、業務の中身が書かれていない
- 休日の書き方:「週休2日制」と「完全週休2日制」は違う(前者は月に1回以上週2日の休みがある、という意味で使われることが多い)
面接で確認するとよいことは?
- 配属予定の部署の人数と、最近の入社・退職の状況
- 未経験で入った人が、最初の3か月で何をするか
- 残業の多い時期と、月の残業時間の目安
- 有給休暇の取り方
質問に具体的に答えてもらえるかどうかも、職場の雰囲気を知る手がかりになります。
入社してから「おかしい」と思ったら?
長時間労働や賃金不払残業、ハラスメントなどがあるときは、1人で抱え込まないでください。新卒応援ハローワークでは、就職後の仕事の悩みや、若者の長時間労働・賃金不払残業などの相談も受け付けていると案内されています。都道府県労働局や労働基準監督署にも相談できます。
職場情報を見る手順は?
応募したい企業が決まったら、次の順番で確認すると、10分ほどで全体がつかめます。
- しょくばらぼで企業名を検索し、公表されている職場情報を見る
- ユースエール認定の有無を見る(中小企業の場合)
- 求人票の「固定残業代」「休日」「賃金」の書き方を確認する
- 企業の採用ページで、配属先・研修・キャリアの説明を読む
- 分からなかった点を、面接での質問としてメモする
しょくばらぼに載っていない企業も多くあります。その場合は、求人票と面接での質問で確かめていきます。
ハローワークの求人票で見るポイントは?
ハローワークの求人票は、記載の項目が決まっているため、企業同士を比べやすいのが特徴です。次の項目に注目しましょう。
- 「月平均労働日数」「月平均時間外労働時間」
- 「年間休日数」と「休日」の書き方
- 「賃金」の欄の基本給と手当、固定残業代の内訳
- 「賞与(前年度実績)」「昇給(前年度実績)」
- 「試用期間」の有無と、期間中の条件
数字が書かれている項目は、ほかの求人と並べて比べてみてください。極端に違う数字があれば、面接で理由を聞くきっかけになります。
それでも不安なときは?
1社だけで判断せず、同じ職種の求人を数件比べると、相場が見えてきます。ハローワークの担当者や就職支援サービスの担当者に「この求人で気をつける点はありますか」と聞くのも有効です。不安な点を言葉にしておくことが、入社後の「こんなはずでは」を減らします。
会社選び、次の一歩は?
応募したい企業が決まったら、しょくばらぼで職場情報を確認し、中小企業ならユースエール認定の有無も見てみましょう。求人票の固定残業代・休日・賃金の書き方を確認し、分からなかった点は面接で質問します。公的な情報と面接での質問を組み合わせれば、口コミだけに頼らず、自分の目で会社を選べます。
情報を確かめることに時間がかかっても、それは無駄ではありません。入社後に長く働くための準備です。
よくある質問
- ブラック企業を見分ける公的な方法は?
- しょくばらぼで平均勤続年数・残業時間・有休の取得状況などを確認し、ユースエール認定の有無を見ます。新卒枠で応募するなら、若者雇用促進法にもとづき青少年雇用情報の提供を求めることもできます。
- ユースエール認定とは?
- 若者の採用・育成に積極的で雇用管理が優良な中小企業(常時雇用300人以下)を、厚生労働大臣が認定する制度です。新卒者等の離職率20%以下、所定外労働時間月平均20時間以下などが基準です。
- 既卒でも職場情報の提供を求められる?
- 若者雇用促進法第13条第2項は、新卒等(学校卒業見込者等)の募集に応じる人の求めに応じて提供することを義務づけています。既卒で新卒枠に応募する場合に使える可能性があります。
- 口コミサイトは参考にしていい?
- 参考の1つにはなりますが、書いた人の立場や時期が分からないため、それだけで判断しないことをおすすめします。公的な職場情報と、面接での質問を組み合わせてください。
- しょくばらぼに載っていない会社は避けるべき?
- 載っていないことだけでは判断できません。求人票の内容と、面接での質問(配属先の人数、残業の目安、有休の取り方など)で確かめてください。
出典・確認したページ
- e-Gov法令検索「青少年の雇用の促進等に関する法律」(若者雇用促進法):第7条(指針)、第13条・第14条(青少年雇用情報の提供)、第15条(常時雇用する労働者300人以下の事業主の認定=ユースエール)(2026-11-02確認)
- 厚生労働省「若者の募集・採用等に関する指針」(リーフレット):「既卒者が卒業後少なくとも3年間は『新卒枠』に応募できるようにすること」「できる限り上限年齢を設けないように努めること」、固定残業代の明示、職場情報の提供(2026-11-02確認)
- 厚生労働省「しょくばらぼ(職場情報総合サイト)」:企業の職場情報(平均勤続年数・残業時間・有休取得など)の検索(2026-11-02確認)
- しょくばらぼ「ユースエール認定制度」:常時雇用300人以下、新卒者等の離職率20%以下、所定外労働時間月平均20時間以下かつ月平均60時間以上の正社員がいない、有休取得率70%以上または年平均10日以上 など(2026-11-02確認)
- 厚生労働省「若者雇用促進総合サイト」:若者の採用・育成に積極的な企業の検索(2026-11-02確認)
- 厚生労働省「新卒応援ハローワークのメニュー」:対象は大学等を卒業予定の学生・生徒、卒業後おおむね3年以内の方、各都道府県に1か所以上・全国56か所。担当者を決めた個別支援(就職支援ナビゲーター)、臨床心理士等への相談、応募書類(ES・履歴書)の作成支援、面接対策、セミナー、全国の求人情報の検索・閲覧、企業説明会・面接会、就職後の定着支援(2026-11-02確認)
この記事は 2026-11-02 時点で公的機関・各社公式ページを確認して書いています。制度や各社の条件は変わることがあるため、申込み前に公式ページで最新情報を確認してください。体験談・口コミは掲載していません。